封神演義


封神の書

原作 藤崎 竜

3:2:2台本

*主な登場人物*(CVは参考までに)
太公望
(たいこうぼう)

CV:結城比呂
幼い頃に家族を失い、元始天尊のもとで修業を積む。外見ではうつけ者を装っているが、崑崙でもまれにみる頭脳の持ち主。宝貝・打神鞭で風を操る。
元始天尊
(げんしてんそん)

CV:大木民夫
三大仙人の一人で、崑崙の仙道を統括する教主。封神計画を太公望に託した。額には千里眼がある。見た目、髭の長いおじいさん。
白鶴童子
(はくつるどうじ)
CV:小林和也
崑崙の総本山・玉虚宮に住む、おしゃべりな鶴の道士。元始天尊の秘書のような役割を担う。崑崙山の仙道は生来の人間が大半を占めるが、そのなかでは珍しい存在。
蘇妲己
(そだっき)

CV:かかずゆみ
金鰲島出身の仙女で、その美貌で歴代の権力者をたぶらかし、殷以前の夏王朝の時代から人々を苦しめてきた妖狐。凄まじい力もさることながら、すばらしくよく切れる頭脳をもっている。

詳しいことはこちら→http://www.houshin-engi.com/

*ルビの大きさはIEの場合、表示⇒文字のサイズで変更可能。(小または中 推奨)



ナレ:封神演義(ほうしんえんぎ)とは・・・『西遊記』『三国志演義(さんごくしえんぎ)』『水滸伝(すいこでん)』と並ぶ中国の四大怪奇小説の一つである
   3千年以上前の古代―紀元前11世紀中国(いん)の時代末期
   仙人・道士や妖怪が入り乱れる混沌とした世界が物語の舞台となる・・・



ナレ:仙人は天空に住まい 人間は地上に住まう
   人間界の時代(いま)は殷―紀元前16〜11世紀まで続いた中国最古の王朝である
   第30代皇帝の若き紂王(ちゅうおう)は文武両道に()けた明君(めいくん)であった
   彼こそは殷をさらに発展させるであろうと誰もが思った
   だが・・・絶世の美女妲己(だっき)(めと)って以来紂王(ちゅうおう)は変わってしまうのだ
   彼女は邪心を持つ仙女(せんにょ)だったのだ
   仙人界でも指折りの仙人の妲己(だっき)である
   紂王(ちゅうおう)はあっという間に術をかけられあやつり人形にされてしまう・・・
   こうして人間界の最高権力を手に入れた彼女は仲間を王宮に呼びよせ―
   ()しき仙人たちによって王朝の支配をはじめた・・・

家臣:紂王(ちゅうおう)・・・!
   民草(たみぐさ)には米も麦もなく餓死者が多く出ています!!
   どうか税を軽くして下さい!!!

妲己:ばっかねー
   米や麦がないのなら点心(おかし)を食べればいいじゃないv

家臣:ぐっ!
   この毒婦(どくふ)め!!
   おまえがいるから・・・
   死ね妲己(だっき)!!!

ナレ:妲己(だっき)の付き人が家臣を打つ

家臣:ぐわ――っ!!!

ナレ(付き人):妲己(だっき)さまお怪我は?

妲己:ないわん ありがとぉv

ナレ:五百年続いた殷王朝もこうなってはカタなしである
   彼女たちは毎日パーティーをひらき贅沢三昧
   逆に民は重い税を課せられ貧困のどん底におとされている
   国は乱れた



ナレ:仙人界崑崙(こんろん)山脈

白鶴:師叔(スース)
   太公望師叔(たいこうぼうスース)

太公望:白鶴童子(はくつるどうじ)ではないか
     何事か?

白鶴:元始天尊(げんしてんそん)さまがお呼びですよ

太公望:元始天尊(げんしてんそん)さまが?

ナレ:修業を終え道を(おさ)めた者を「仙人」とよび
   まだ修業中の者は「道士」という
   ここ崑崙(こんろん)山脈は仙人や道士の住まう聖なる場所なのだ
   ちなみに元始天尊(げんしてんそん)通天教主(つうてんきょうしゅ)大上老君(たいじょうろうくん)らと並ぶ三大仙人の一人である

太公望:なんの用事であろう?

ナレ:現代(いま)から三千年以上も古代(むかし)むかしのおはなし



ナレ:仙人界崑崙(こんろん)山脈 総本山 玉虚宮(ぎょくきょきゅう)

太公望:元始天尊(げんしてんそん)さまが一番弟子 太公望(たいこうぼう)まいりました

元始天尊:うむ
      どうじゃ?修業は はかどっておるか?

太公望:もっ・・・もちろんでありますよ

元始天尊:・・・・・・・・・・・・(疑)

太公望:・・・・・・・・・(汗)

元始天尊:ウソをこくでな――い!!!(殴)

太公望:ギャ―――

元始天尊:おまえはいつも瞑想してるふりをしながら眠っておるのだ!!
      わしの目はごまかせんぞ!!
      ・・・・・・・・・他の道士を見てみい
      みな仙人を目標に修養しておる
      おまえも もっと地道にやらぬか!!

太公望:ぐーぐー(眠)

元始天尊:(呆)
      おまえは仙人になりたくないのか?

太公望:一応 仙人になるのが第一志望ですね

元始天尊:は――・・
      よいか太公望
      仙人になれる者はそうそういるものではない
      百万人に一人の確率で生まれる仙人骨(せんにんこつ)を持つ者でなければならぬのだ
      その骨格を持ったものはスカウトされてここで修業することになっておる
      いわば人間のエリートじゃ
      ――なのに おまえときたら修業もせんでなまけになまけ・・・

太公望:・・・・・・・・・
    でも元始天尊(げんしてんそん)さま
    われわれはこのままでよいのでしょうか?
    人間界では妲己(だっき)とその手下が勝手気ままにやっております
    それを 放っといて天上でぬくぬくと修業していてよいのですか?
    それを思うと修業に身が入らずに眠ってしまうのです(うつら・・)

元始天尊:ねるなっつーに
      ・・・・・・・・・・・・
      どうやらおまえには通常の修業は向いていないようじゃな
      ――そこでわしは特別メニューを思いついた!

太公望:特別メニュー?



ナレ:崑崙山(こんろんざん)頂上

元始天尊:これじゃ!
      この巻き物をおまえに預けよう!

太公望:それは・・・

元始天尊:封神(ほうしん)(リスト)じゃ!
      わしとて やりたい放題の妲己(だっき)らを放置しておくつもりはない
      数年前に三大仙人の会議(サミット)をひらいて この問題をどう解決するか話しあった

太公望:それで?

元始天尊:もちろん奴らは人間界から追い払う・・・が 仙人界に戻すこともできぬ!
      そこで人間界と仙人界の間に新たに「神界」を造り―――
      ――そこに きゃつらを(ふう)ずることにした!!
      その(リスト)には神界行きの者どもの名が書いてある
      ―――そしておまえには(リスト)にのっておる365人を倒してもらう!!!

太公望:ええっ!!!
    なんで わしがそんなことをせねば ならんのです!?

元始天尊:フッ
      おまえは目標がないとなまけまくりじゃからのう
      これをおまえの修業とする

太公望:でっ・・・でも
    仙人や道士に殺しは御法度(ごはっと)ですよ?

白鶴:殺しにはならないんですよ
   あれを見て下さい

太公望:ムウ

白鶴:あれは封神台(ほうしんだい)というものです
   人間界で悪い仙人達を倒せばその魂は
   あそこに飛んでゆき閉じ込められるしくみ(、、、)です

太公望:あ・・・あんなものをいつの間に・・・

白鶴:さあ

元始天尊:―――というわけじゃ たのんだぞ

太公望:わしはやらぬ!

元始天尊:まぁだそんなことを言うか このたわけが!!

太公望:たわけは元始天尊(げんしてんそん)さまあなたです
    こんな重要なことをわしなんかにさせるとは!!
    あなたが妲己(だっき)を倒せば話は早いんじゃないですかぁ〜!?

元始天尊:うう・・・それを言ったらこのマンガはおしまいじゃ・・・
      ―――って これは もう決まったことなのじゃ!!
      やらぬなら太公望(たいこうぼう)おまえは破門(はもん)じゃっ!!!

太公望:(ショック)・・・・・・・・・
    ずるいなーもー ハモンなんて
    ニ〜三日考えさせてください

白鶴:・・・・・・・・・
   師叔(スース)はやるでしょうかねぇ・・・
   あの性格からして破門(はもん)を選ぶかもしれませんよ!?

元始天尊:・・・・・・いや!やるに決まっておる(ニヤ)

白鶴:え?

元始天尊:太公望(たいこうぼう)にはやるべき因縁(いんねん)があるのじゃ



ナレ:―――60年前
   この時代の中国は殷族(いんぞく)周族(しゅうぞく)姜族(きょうぞく)の三大民族が多数を占めていたが
   支配者の殷族は他民族を家畜同然に思っていた・・・
   60年前 皇帝・大丁(たいてい)治世(ちせい) 西方(せいほう) 姜族(きょうぞく)の村

姜族の女:・・・・・・・・・?
      呂望(りょぼう)さま?
      姜族(きょうぞく)の統領の御子息ともあろう お方がここで何を・・・?

太公望:羊の世話だよ
    僕も もう12歳だ
    充分働ける歳だからね

姜族の女:そんな・・・こんな遠くまで・・・お一人で・・・
      !?

太公望:殷の軍隊・・・・・・・・・
    まさか・・・村を!!!
    ―――!!

姜族の女:いやあああ 村がぁ――っ!!!

太公望:あっ おばさん待つんだ!!

ナレ:村はあっという間に焼き払われた

太公望:・・・・・・・・・・・・

女1:隣の村が人狩りにあったってさ

女2:皇帝が病で死んだでしょ?
   その死後の付き人として隣の村の人を一緒に埋めるのよ
   殉死(じゅんし)ってやつ

女3:何百人もかい?普段は五〜六人でしょ?

女2:普通はね!
   でも皇后さまのわがままでそうなったらしいわよ

女1:悪い女よねぇ 皇后さまってのは!!

女3:異民族は何人殺しても構わないってのかねぇ!!

太公望:殷の 皇后(呟)

元始天尊:殷の皇后は もともとは仙人界にいた仙女(せんにょ)じゃ
      不老不死の肉体と傾国の美貌をもっておる

太公望:仙女(せんにょ)

元始天尊:あの仙女は数百年前に人間界に降りて以来ずっと王宮に住みついておる
      殷王朝の前の()王朝の時代から名を変え姿を変え―――
      歴代の皇帝たちをその美貌でたぶらかし贅沢三昧をし続けておるのだ
      今回おぬしの村が襲われたのも この皇后の一言からはじまった・・・

妲己:わらわは何事もド派手なのが好きなのっv
   王の死後の付き人は いつもの100倍にしましょv

家臣:100倍!?無茶苦茶です!!
   そんなことしたら 民衆の反乱がおきます!!

妲己:―――では 異民族を捕まえてくればいい
   殷族でなければいいだろ?(裏)

家臣:・・・・・・・・・
   はい・・・

元始天尊:どうやら最近の妲己(だっき)は怪しい術を身につけたようじゃ
      そして・・・はむかう者は殺され 残りは王と共に墓に埋められたのじゃ
      ・・・・・・・・・
      わしの名は元始(げんし)・・・・・・崑崙山(こんろんざん)の総統じゃ
      おぬしを迎えに来た
      おぬしには仙人骨(せんにんこつ)がある!仙人になるがいい

太公望:仙人・・・
    父上も母上も兄様も妹もみんな連れてかれて埋められた
    その皇后は悪いやつだ!
    仙人になって偉くなれば悪いやつをやっつけることができるのか!?



元始天尊:太公望(たいこうぼう)には才能がある!
      崑崙山(こんろんざん)に来てメキメキ力をつけていった

白鶴:30年たらずで仙人級の能力(ちから)を身につけましたよね
   最近はナマケモノになってますけど

元始天尊:(フォッフォッ)
      おそらくは怠けていれば人間界で修業をさせてもらえると考えたのじゃろう
      あやつは将来 仙人界のトップに立つ人物じゃ
      才能を伸ばしてやらねばのう










☆ルビ打ってほしい漢字、おこしてほしいシーンのリクエスト、その他ご意見・ご感想・利用報告などありましたらBBSまでv☆
HOME